ネトウヨ達が信じて疑わない「ワカメを消化できるのは日本人だけ」という説はデマです。この誤解は、科学的根拠に基づかないまま広まったもので、以下のような背景が関係しています。デマの真偽ワカメ(海藻類)に含まれる多糖類(アルギン酸やフコイダンなど)は、特定の酵素がなければ分解が難しいとされています。かつて、1970年代の研究で、日本人の腸内細菌叢に、海藻を分解する酵素を持つ特定のバクテリア(例:Bacteroides plebeius)が多いことが報告されました。このバクテリアは、海藻に含まれる多糖類を分解する酵素を生成し、その遺伝子が海洋細菌から水平伝播した可能性が指摘されています(参考:Hehemann et al., Nature, 2010)。この研究が、「日本人だけが海藻を消化できる」という誇張された解釈に繋がった可能性があります。しかし、実際には:
- 海藻を食べる文化は日本だけでなく、韓国、中国、東南アジアの一部、さらにはヨーロッパ(例:アイルランドの海藻食文化)など世界各地に存在します。
- 他の民族でも、海藻を食べる習慣がある地域では同様の腸内細菌が観察されており、日本人特有の現象ではありません。
- ワカメ自体は、消化酵素がなくても食物繊維として腸を通過し、健康効果(整腸作用など)をもたらします。完全に分解できなくても、消化できない=食べられない、ということではありません。
- 文化的な誇張とナショナリズム
日本では海藻食文化が古くから根付いており、「日本人は特別な食文化を持っている」という誇りがデマの背景にある可能性があります。こうした誇張は、科学的根拠が曖昧なまま「日本人独自の能力」として広まりがちです。 - 研究の誤解釈
前述の研究が一般に広まる際、メディアや個人が「日本人だけが海藻を消化できる」と簡略化して伝えたことが誤解の原因と考えられます。学術的な内容がポップカルチャー的に誇張され、誤った情報が拡散した典型例です。 - インターネットと情報の拡散
SNSやブログが普及する中で、興味を引く「驚きの事実」としてこのデマが拡散された可能性があります。特に、「日本人特有」というフレーズは注目を集めやすく、検証せずにシェアされやすい傾向があります。
にほんブログ村